【八王子市】日本中を震えあがらせているツキノワグマ。小仏バス停や景信山、上恩方町や裏高尾町でも目撃情報が出ています
環境省は、2023年4月から10月末までにクマに襲われるなど被害に遭った人が 全国で180人に上ったと発表しました。 統計を開始した2006年以来、過去最多ということです。
東北などで特に被害が多く出ていますが、今年は八王子市内でも、20件近くの目撃情報があります。
目撃等の情報
令和5年10月27日更新の東京都ツキノワグマ目撃等情報一覧 を見ると、(ツキノワグマらしき動物=カモシカ、イノシシなどの可能性ありを含みます) 八王子市内では18件の目撃や痕跡、撮影の情報があり、うち1頭は和田峠付近(醍醐林道)で捕獲されています。
東京都では、地元住民や登山者、関係機関などから寄せられたツキノワグマと思われる目撃や痕跡(クマ棚、クマ剥ぎ、フンなど)、センサーカメラ撮影などの情報をまとめています。
なお、東京都ツキノワグマ目撃等情報一覧には、ツキノワグマらしき動物(カモシカ、イノシシなどの可能性あり)の情報も含んでいますのでご承知おきください。
山の中では、カモシカをツキノワグマと見間違えることがあります。ジッとして動かない黒い動物がいたら、ツノが生えているカモシカかもしれません。
↓都内に設置したセンサーカメラで撮影されたツキノワグマ(写真提供:東京都レンジャー)
ツキノワグマ(本州と四国に生息する)
体長:110cm~150cm 体重:80~120kg
クマの食べ物と生息地
ツキノワグマがおもに生活するのは、 落葉広葉樹林の森林です。そこに生育す るブナ・コナラ・ミズナラなどの実(ど んぐり)を餌としています。
このような 森林はツキノワグマにとって非常に重要な場所です。 ツキノワグマの食物の 9 割以上は植物です。
春には、芽吹いたブナの葉やさまざま植物を食べます。夏はアリやハチなどの昆虫を多く食べます。秋になると、ドングリなど 木の実をたくさん食べるようになります。
林野庁は10月20日、東北各県のブナの結実状況を発表しました。
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県の東北全県で、大凶作ということなので里山にツキノワグマが出没しているということも考えられるそうです。
↓都内に設置したセンサーカメラで撮影されたツキノワグマ(写真提供:東京都レンジャー)
東京都では都内においてはツキノワグマは狩猟禁止動物となっています。
ツキノワグマは、東京都の保護上重要な野生生物種(東京都レッドリスト2020年版)において、南多摩地域(*)で絶滅危惧2類(VU)(注1)、西多摩地域(*)で準絶滅危惧(NT)(注2)として評価しています。また、アジアクロクマとも呼ばれ、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)では、国際希少野生動植物種に指定されています。
- (注1)絶滅危惧2類(VU)
- 現在の状態をもたらした圧迫要因が引き続き作用する場合、近い将来「絶滅危惧1類」のランクに移行することが確実と考えられるもの
- (注2)準絶滅危惧(NT)
- 現時点での絶滅危惧度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」として上位ランクに移行する要素を有するもの
*1B類、2類の数字の正しい表記はローマ数字です。
(*)南多摩地域:ツキノワグマの生息地では八王子市が該当
(*)西多摩地域:ツキノワグマの生息地では奥多摩町、檜原村、あきる野市、青梅市、日の出町が該当
↓都内で撮影されたツキノワグマの痕跡(写真提供:東京都レンジャー)
爪や牙で皮をはぎ取られた樹木(クマはぎ)
クマは被害を出す動物なのになぜ保護するのでしょうか?
クマの生息地に近いところに住む人たちにとって、クマは恐ろしい存在です。でも、食べた植物の種をフンとして出すことで植物の繁殖を助けるなど、クマは生態系を支える役目をはたしています。クマがいる森は、他の多くの動物も生息できる大事な地域です。
人里とクマ 生息地の間にクマが立ち入りにくい場所を設けるなど、生活圏が重ならないようにすみわけ を目指した研究や対策が始まっているそうです。
↓都内で撮影されたツキノワグマの痕跡(写真提供:東京都レンジャー)
爪や牙で皮をはぎ取られた樹木(クマはぎ)
八王子市内でツキノワグマが目撃されているのは主に山奥の登山道や林道などですが、上恩方町や小仏バス停付近、裏高尾町、景信山などでも今年は目撃情報が出ています。(ツキノワグマらしき動物=カモシカ、イノシシなどの可能性ありを含みます)
↓ツキノワグマと見間違えられることが多いニホンカモシカ(写真提供:東京都レンジャー)
↓ツキノワグマと見間違えられることが多いニホンカモシカ(写真提供:東京都レンジャー)
クマと出合わないために
ツキノワグマは、時速40kmで走ることができ、木登りが上手で、泳ぎも達者です。こんなツキノワグマに追いかけられたら、人間の運動能力では逃げきることは難しいでしょう。
襲われたら、命にかかわる場合もあります。出合ってからのことを考える前に、まずはツキノワグマと出合わないように対策をすることが重要です。
ツキノワグマが生息している山に入るときは、次のような方法で自分の存在をツキノワグマに知らせましょう。
・クマ鈴を付けて鳴らす
・大きめの音量でラジオかける
・大きめの声で会話する
・手を叩きながら歩く
特に、目撃等の情報が多い場所やツキノワグマの行動が活発になる早朝、夕暮れの時間帯は注意が必要です。また、登山道で見通しの悪い場所や沢の音が大きく響く場所などではクマと鉢合わせしやすいため気を付けてください。
↓都内で撮影されたツキノワグマの痕跡(写真提供:東京都レンジャー)ツキノワグマの足跡
もしクマと出合ってしまったら
出合わないように対策をしても、出合ってしまう場合があります。
ツキノワグマが遠くにいる場合
落ち着いて、その場を離れましょう。走ったり大声を出したりしてツキノワグマを驚かせてはいけません。
ツキノワグマが近くにいる場合
ツキノワグマに背中を見せず、落ち着いて、ゆっくり後ずさりしてその場を離れましょう。ツキノワグマが向かってきたら、クマ撃退用スプレーが有効です。
ツキノワグマに襲われた場合
うつ伏せになって丸まり、組んだ両手で首の後ろ側を、両ヒジで顔をガードしてください。ツキノワグマは人を食べるために襲ってくるのではなく、人を怖がっており、自分が逃げるために攻撃するので、抵抗せずに数分耐えれば逃げていくといわれています。
キャンプ場などでの注意点
野生動物への餌づけは、野生動物が人に慣れ、集落へ行ったり人を襲ったりするようになるので、絶対にやめましょう!!
・テントに食べ物のにおいが残るため、テント内での食事は避けましょう。
・食べ物は密閉容器に入れ、可能であればテント外(車など)に保管しましょう。
・使った食器類は、置きっぱなしにせず洗って片付けましょう。
・生ごみは密閉袋に入れて持ち帰るか、クマ対策をしてある備え付けのゴミ箱に捨てましょう。
ツキノワグマを寄せ付けない集落づくり
ツキノワグマは、縄張りを持たず1日の移動距離も長いので、生息地付近の里山では人家付近を徘徊していることはよくあります。
ツキノワグマはとても嗅覚が優れています。食べ物だけでなく、ガソリン、エンジンオイル、ペンキなどのにおいにも強く反応します。
人家付近に来た際に、においをたどって倉庫などに食べ物があることを覚えてしまうと、繰り返し来るようになり、時にはドアや窓ガラスを破って人家に侵入して中を荒らすようなこともあります。
大事なのは、人家付近でツキノワグマを立ち止まらせないことです。
誘引物の除去
庭のカキやクリなどは放置せず早めに収穫し、屋内に保管又は適切に廃棄しましょう。利用しない果樹については、思い切って伐ってしまうのも一つの方法です。また、ツキノワグマが登れないよう幹にトタン板を巻きつけ、落ちた実を回収することも有効です。
果実酒や味噌、ドッグフード、ガソリンなどを倉庫などに保管するときは、においが出ないようにしてカギをかけましょう。
生ごみや廃棄果実、廃棄野菜を畑や庭にそのまま放置するのはやめましょう。
刈払い(伐開)
人家と山との間にあるブッシュ(ヤブ)はツキノワグマの隠れ場所となってしまいます。灌木や雑草を刈り払うことで見通しを良くし、ツキノワグマが近づきやすい環境をなくしましょう。
これから高尾山や景信山は紅葉の美しいシーズンに入ります。観光地化した身近な山でも、その奥は手付かずの自然の山に続いています。クマに出会う可能性はゼロではないので、ツキノワグマがいるかもということも頭の片隅に置いてハイキングや紅葉狩りを楽しんでください。
クマの出没情報に気をつける
• 出没情報のあったところにはなるべく近づかない。
• 早朝・夜間は出会う可能性が高くなるので注意しましょう。
クマに自分の存在を知らせる
• クマ鈴など音の出るもので存在を知らせましょう。
• クマに出会う恐れのあるところでは走るのはさけましょう。
クマの隠れ場所になりそうなところに注意する
• 見通しの悪いところや沢など狭いところでは注意しましょう。
• 山とつながっている林や川沿いのやぶでも注意しましょう。
なお、八王子市内でツキノワグマを見かけたら、八王子市産業振興部獣害対策課まで情報をお寄せください。また、人家周辺などで目撃し、危険を感じた場合は警察にご連絡ください。