【八王子市】大ガラスのレプリカについて世界の識者が語り合う、美術界の歴史的大イベントに参加しませんか?
国立アートリサーチセンター(NCAR)と多摩美術大学アートアーカイヴセンター(AAC)は、NCARシンポジウム004・第7回多摩美術大学アートアーカイヴシンポジウム「マルセル・デュシャン《大ガラス》レプリカをめぐって——ストックホルム・ロンドン・東京・パリ」を、2025年3月1日(土)に多摩美術大学八王子キャンパスにて開催します。
現代美術や芸術がお好きな方に多摩美術大学で開催される今回のイベントは、またとない機会です。
そしてこんなに素晴らしい内容なのに無料で参加できます。
先着順なのですぐに申し込んでくださいね。
今回のイベントの主役、マルセル・デュシャン(1887-1968年)は、現代美術をこの世に初めて知らせた人として認知される作家で、みて楽しむ芸術から、哲学を楽しむ芸術への道筋をつくりました。
デュシャンの作品は「芸術」をみるのではなく「考える」ことで、さまざまな知的興奮を呼び起こさせてくれます。
デュシャンの詳細はトーハク(東京国立博物館)のこちらの記事がわかりやすく楽しいです。
今回はこのデュシャンの代表作大ガラスのレプリカを巡る事柄について、世界的な識者が研究討論します。
マルセル・デュシャンの代表作のひとつ《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》(通称:大ガラス)(1915-23、フィラデルフィア美術館蔵)は、8年の歳月をかけて制作された未完成のオブジェで、解釈の幅が広く、多くの議論を呼ぶ作品として知られています。ガラスという素材の性質上移送が困難なため、展覧会の機会などにこれまで複数のレプリカが制作されてきました。アジアにおける唯一のレプリカ《大ガラス東京ヴァージョン》(1980、東京大学駒場博物館蔵)は、デュシャンの死後、彼と交流のあった瀧口修造と東野芳明(多摩美術大学教授、当時)が監修を務め、東京大学と多摩美術大学の学生らがファブリケーターとなって制作されたものです。
実際の制作に先立ち、多摩美術大学の学生たちは準備・研究を始め、上野毛キャンパスのある教室で試作群を手がけていました。それら試作群の一部がそのまま多摩美術大学に保管されていましたが、本年、デュシャンの遺品を管理し作品を世界に広めるマルセル・デュシャン・アソシエーションの承認を受け、他の関連資料群とともにAACで正式にアーカイヴ化することになりました。
これを記念し、ヨーロッパと日本で制作された《大ガラス》のレプリカと関連資料を考察する初めての機会として国際シンポジウムを開催します。ストックホルム、ロンドン、パリ、そして東京から、レプリカ所蔵機関のキュレーターや研究者らが一堂に会し、それぞれの制作経緯と歴史、関連アーカイヴを含めたレプリカの保存と活用について情報を共有するとともに、マルセル・デュシャンの代表作をレプリカの視点から見直し、同レプリカが持つ特性やアーカイヴ化することの意義、今後の具体的な活用のアイディアを提案します。
【シンポジウム概要】
第7回多摩美術大学アートアーカイヴシンポジウム・NCARシンポジウム004「マルセル・デュシャン《大ガラス》レプリカをめぐって──ストックホルム・ロンドン・東京・パリ」
開催日時
2025年3月1日(土)13:30~16:30
会場
多摩美術大学八王子キャンパス レクチャーAホール
(東京都八王子市鑓水2-1723)
内容 (予定)
司会:千々岩修(多摩美術大学 日本画専攻教授)
■開会あいさつ
青柳正規(学校法人 多摩美術大学 理事長)
片岡真実(国立アートリサーチセンター長)
■事例紹介(予定)
・「《ストックホルム・ヴァージョン》(1960)制作経緯とレプリカのヴァリエーション」アンナ・テルグレン(ストックホルム近代美術館 写真部門キュレーター、リサーチ部門長)
・「《ロンドン・ヴァージョン》(1963)経緯と修復」ナタリア・シドリーナ(テート美術館 国際近代美術部門キュレーター)
・「《東京ヴァージョン》(1980)経緯と日本のデュシャン研究ネットワーク」光田由里(AAC所長、多摩美術大学 大学院教授)
・「《大ガラス》レプリカ研究」パスカル・ゴブロ(映像作家)
・「《大ガラス》(東京大学駒場博物館蔵)所蔵者の立場から」折茂克哉(東京大学大学院総合文化研究科 駒場博物館助教)
・「《東京ヴァージョン》制作者の立場から」有福一昭(有明教育芸術短期大学教授)
■ディスカッションと質疑応答
モデレーター:岡部美紀(国立アートリサーチセンター国際発信・連携グループリーダー)
■閉会あいさつ
内藤廣(多摩美術大学 学長)
参加定員:200名(要事前申込、先着順)
参加費:無料
申込方法
申込締切:2月28日(金)23:59まで(定員に達し次第受付終了)
主催:多摩美術大学アートアーカイヴセンター・国立アートリサーチセンター
その他
・日英同時通訳有り。
・同時配信無し(後日アーカイヴをAACウェブサイトに掲載予定)。
・当日、学内の食堂、コンビニエンスストアは閉店しています。お食事等のご購入はできかねますのであらかじめご了承ください。
・駐車場はありません。公共交通機関を利用してください。
【登壇者プロフィール】
アンナ・テルグレン(博士) Anna TELLGREN
ストックホルム近代美術館 写真部門キュレーター、リサーチ部門長
これまでにラース・ツンビヨルク、インタ・ルカ、アニカ・エリザベス・フォン・ハウスヴォルフなど、北欧圏で活動するアーティスト、写真家の個展をはじめ、数多くの展覧会を企画。2011年、「もう一つの物語:ストックホルム近代美術館の写真コレクション」展を担当。また美術館の50周年を機に出版された『ストックホルム近代美術館の歴史 1958-2008』(2008)の編集に携わった他、美術館の元館長でマルセル・デュシャン作品収蔵に尽力したポントゥス・フルテンに関する書籍も手掛けている。
ナタリア・シドリーナ(博士) Natalia SIDLINA
テート美術館 国際近代美術部門キュレーター
近代の亡命/移民芸術(émigré art)を専門とする。20世紀初頭の東西ヨーロッパにおける美術的実践を通じた文化横断的な歴史やつながりの形成、グローバルな知の交換に焦点をあてた研究・企画を行う。2015年より現職。現在2025年に開催予定の「The Theatre of Picasso(ピカソの劇場)」展に向け、ピカソ作品におけるパフォーマンス性について研究を進めている。近年の展示に「ゾフィー・トイバー=アルプ」(2021)、「セザンヌ」(2022)、「表現主義者たち: カンディンスキー、ミュンターと青騎士」(2024)など。
光田由里 MITSUDA Yuri
美術評論家、多摩美術大学大学院教授、アートアーカイヴセンター所長
兵庫県生まれ。専門は20世紀美術史・写真史。富山県美術館、渋谷区立松濤美術館、DIC川村記念美術館の学芸員を経て現職。著書に『高松次郎 言葉ともの』(水声社、2011)、『写真、芸術との界面に』(青弓社、2006、日本写真協会賞)ほか。共著に『日本美術の近現代史』(東京書籍、2014)、『美術批評集成1955–64』(藝華社、2021)ほか。企画展に「ハイレッド・センター 直接行動の軌跡」(2013–14)、「鏡と穴―写真と彫刻の界面」(2017)、「描く、そして現れる——画家が彫刻を作るとき」(2019)ほか多数。
パスカル・ゴブロ Pascal GOBLOT
パフォーマー、映像作家、映画監督
2020年に「Richard Hamilton in the reflection of Marcel Duchamp(マルセル・デュシャンを通して見たリチャード・ハミルトン)」(SCAMスター賞)を発表。2006年以降、マルセル・デュシャンの《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも(大ガラス)》に着目し、《The Legend of the Large Glass(大ガラス伝説)》という名の一連の作品を発表している。その一環として2014年に《大ガラス》のコピーを10年の期限付きで制作し、2024年にそれを破壊するパフォーマンス《To Be Broken》を行った。
【多摩美術大学アートアーカイヴセンター概要】
多摩美術大学アートアーカイヴセンター(AAC)は、多摩美術大学(東京都世田谷区、八王子市、学長:内藤廣)の附属施設で、現在、19の資料体を有し、アーカイヴの構築、公開、活用、研究を行っています。活動の成果は、シンポジウムや年報/紀要『軌跡』にて発信しています。また、AACの資料を活用した展覧会をアートアーカイヴセンターギャラリー(八王子キャンパス)にて定期的に開催しています。
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