【八王子市】馬頭琴・ホーミー。モンゴルの音色が市立第五中学校にやって来た。特別授業の様子を見せてもらいました
モンゴルと日本の国交樹立50周年、それを記念して八王子市立第五中学校で『モンゴル国文化交流特別授業』が行われました。
大人になった方には懐かしく聞こえる授業の目標＝授業のねらいも聞いて来ました。
今回の授業では、日本と友好関係にあるモンゴルについて、元モンゴル国駐在特命全権大使である清水 武則さん(現中央大学商学部特任教授、国際関係論・モンゴルゼミ担当、現千葉工業大学特別教授) が、外交官とはどんなことをするの？モンゴルと日本の関係は？などの講義をわかりやすく生徒に話してくれました。
モンゴルの国土は日本の約4倍。そこに340万9,939人（2021年、モンゴル国家統計局調べ）の人々が暮らし、そのうち首都ウランバートルに人口の半数近い163万9,172人が住んでいます。
2021年7月には、日本政府からの資金協力（円借款）によって建設されたチンギス・ハーン国際空港が開港しました。
今回の特別授業では、チンギスハンの伝統を受け継ぐ騎馬民族モンゴル人の象徴ともいえる楽器「馬頭琴＝ばとうきん＝モンゴル語でモリンホール」の名手である、アマルジャルガル・ドルギオンさんの馬頭琴とホーミーの演奏を楽しんでもらいました。
馬頭琴は、弦の本数が二本しかない擦弦楽器です。楽器の棹の先端部分が馬の頭の形をしているため馬頭琴と呼ばれています。
馬と共に生きるモンゴルならではの、素晴らしいデザインを持った楽器ですね。
弦は2本。1本1本の弦は細い馬のしっぽの毛の集まりでできています。最近はナイロン製のものもポピュラーだそう。
音色はバイオリンに壮大な大陸の空気を加えたような感じ。音の伸びが素晴らしい楽器です。
第五中学校が関係者控室に用意してくれたのは図書室。きれいに整頓され、面白そうな本がたくさんありました。
椅子を引いても耳障りな音がしないようにか、椅子の足には使い終わったテニスボールがはめられています。お金をかけずに快適さを手に入れる工夫に拍手です。
元モンゴル国大使の清水さんのお話を、生徒たちは静かに聞いています。
アマルジャルガル・ドルギオンさんの馬頭琴の演奏が始まると、姿勢を正し聞き入る生徒が多くいました。
初めて聞くホーミーに驚きと感動を得た生徒たちは授業終了後すぐに、器楽的特徴をもつ歌唱法を真似していて、自然に国際理解が身につくこのような授業の大切さを感じさせてくれました。
左から、元モンゴル国駐在特命全権大使である清水 武則さん、八王子市立第五中学校校長 竹内康裕さん、馬頭琴・ホーミー演奏家アマルジャルガル ドルギオンさん。
一流の講師と演奏家から直に聞ける機会は、なかなかないもの。しかも至近距離でマイクを通さない生の演奏を、若い耳に聴かせる授業は素晴らしい取り組みだと思いました。
こちらのInstagramは、清水さんが教鞭をとる中央大学モンゴルゼミのものです。
モンゴルの魅力がたくさんご紹介してあるので、ぜひ見てください。
モンゴル音楽についての参考資料
モンゴルでは西洋のポップスやロックを好む人もたくさんいますが、今、世界中で注目されているのはバンド「The Hu＝ザ・フー」
2019年に出したザ・フーのアルバムは、何週間も1位を獲得し続けていた韓国男性バンドBTSを制し、ビルボードのワールドアルバムチャートの首位を奪いました。
ザ・フー は、2016年に結成されたモンゴルのロックバンド。馬琴頭やホーミーなどモンゴルの伝統音楽の楽器や技術を取り入れ、その音楽性は「匈奴（きょうど）ロック」と呼ばれています。”Hu”は、モンゴル語で「人間」という意味だそう。
先日行われたフジロックにも出演し、日本でも評価が高まっています。彼らの第2作目のアルバアム『Rumble of Thunder』は9月2日に発売されたばかりです。
※匈奴（きょうど）とは、紀元前4世紀頃から5世紀にかけてモンゴル高原に住んでいた遊牧民族のこととされる。
ロックな馬頭琴とホーミーは新しい風。
モンゴル草原音楽協会提供
2022年12月19日のモンゴル国立馬頭琴交響楽団のステージには総勢50人もの演奏者が出演します。これほどまで大掛かりな演奏会は滅多にありません。チケットはまだ多少あるそうなので、お時間の合う方はぜひ聴いてみて下さい。
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