【八王子市】京王線28年ぶりの値上げは10月1日から。京王バスは9月16日から運賃改定。それでも電車は業界最安水準の運賃です
東京の“京”と八王子の“王”から名づけられ、1910(明治43)年9月に「京王電気軌道株式会社」と して発足した京王線。
1926(大正15)年12月には府中~東八王子間(1925年3月開通)の営業をしていた「玉南電気鉄道」を合併し、新宿~東八王子間の統一営業を開始しました。
1967(昭42)年には高尾線が開通し、さらに多摩ニュータウンの足として計画された相模原線は、 1971(昭46)年に京王よみうりランド、その後1974(昭49)年には京王多摩センターまで延伸し、現在まで、京王線は八王子市民の生活には欠かせない電車となっています。
路線バスも電車の開通と同じ1913(大正2)年に、京王線未開通区間の新宿~笹塚間および調布~府中~国分寺間で営業を開始しました。これは、東京で最初のバス営業だそうです。
そんな八王子市民に深く関わり愛されている京王電鉄の運賃が改定されます。
京王電鉄にとって1995年以来28年ぶりの値上げですが、並行して走る中央線と比べると、まだまだ安く都心に行けることに変わりはありません。
業界最安水準の運賃を維持してきた京王電鉄ですが、新型コロナウイルス感染症の影響は甚大で、2020年度、2021年度の2ヵ年ともに、コロナ禍以前の2018年度に対する輸送人員の減少率は関東大手民鉄8社 (関東大手民鉄7社:東武、西武、京成、小田急、東急、京急、相鉄)で最大となっているそうです。
経営への影響も大きく、安全に支障しない範囲での更新工事の先送り や、役員報酬や給与・賞与の削減など緊急的な費用の大幅削減を行ったものの、鉄道事業単体で2020年度は97億円の損失を計上。2021年度も14億円の損失と2期連続の赤字となっているそうです。
今回改定のポイント
(例)新宿・渋谷~高尾・京王八王子・橋本間は以下の料金になります。
きっぷ…370円→410円・ ICカード…367円→409円
通勤定期…1ヶ月13,750円 →15,310円・3ヶ月39,190円→43,640円・6ヶ月74,250円→ 82,680円
1.普通旅客運賃
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●初乗り運賃は10円程度の値上げ
きっぷ 130円→140円 ICカード 126円→140円
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●その他区間は改定額を極力抑え、最大で42円の値上げ
きっぷ 390円→430円 ICカード 388円→430円
2.定期旅客運賃
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●通学定期運賃は、家計負担に配慮し据置きします。
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●通勤定期運賃は、普通旅客運賃の値上げにあわせた改定となります。
3.その他
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●「京王ライナー」「Mt.TAKAO号」の座席指定料金は現行(1席につき410円)から変更しません。
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●相模原線京王多摩川~橋本間の乗車キロに応じて設定している加算運賃を廃止します。
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●障がいをもつ方の社会活動への参加を支援する取組みとして、精神障がい者割引を新たに導入します。
今回の運賃改定申請は、このような状況下でも「日本一安全でサービスの良い鉄道」を目指し、
2021年10月に発生した車内傷害事件を受けた防犯対策や、ホームドアなどのバリアフリー設備の整備等を進め、またそれらを適切に維持管理することで、あらゆるお客様が安全・安心・快適にご利用いただける鉄道サービスを提供し続けていくために、不足する費用の一部についてお客様にご負担をお願いするものとなります。運賃改定にあたっては、固定費削減や業務効率化などあらゆる経営努力を徹底するとともに、さらなるお客様サービスの向上に努めてまいりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。(京王電鉄ニュースリリースより)
京王電鉄の取り組み
引き続き、「日本一安全でサービスの良い鉄道」の実現を目指し、駅・車両の安全対策や連続立体交差事業を着実に推進するほか、自然災害への備え、バリアフリー設備の整備などお客さまの利便性向上施策に取り組んでいくそうです。
京王電鉄の営業キロあたり設備投資額は関東大手民鉄7社平均が36億円に対し、50億円と業界の中でも高水準の投資を実施(2005年〜2021年実績)しています。
一方、京王バスの運賃改定は一足早く、2023年9月16日からになります。
今回改定のポイント
(例)八王子駅北口~日野自動車前は以下の料金になります。
現金…280円→310円・ ICカード… 273円→310円
(例)八王子みなみ野駅~グリーンヒル寺田は以下の料金になります。
現金…250円→270円・ ICカード… 242円→270円
(例)高尾駅南口~医療センターは以下の料金になります。
現金…180円→200円・ ICカード… 178円→200円
基本的な値上げ金額は+10円~40円です。 値上げ額は一律ではありません。(区間により異なります)
現金運賃、IC運賃については同額となります。(小児割引運賃等は除く)
金額式IC定期券「モットクパス」については、設定運賃範囲内の区間で利用できる定期券となっています。 運賃改定日以降、引き続き定期券は利用できますが、現行と同一区間利用の場合で も、乗車区間運賃が設定運賃を超える場合は、新運賃との差額がチャージ残額から収受されます。
モットクパスの詳しい取扱いにつきましては、こちらをご覧ください。
安くて快適とファンの多い京王線ですが、テレワーク等の定着により鉄道・バスの輸送人員はコロナ禍以前の水準に回復することは想定できない状況にあり、インバウンド需要に支えられてきたホテル業や百貨店業、駅を中心にビジネスを展開してきたグループ各事業についても極めて厳しい状況が続いているなど、京王グループを取り巻く環境は劇的に変化しているそうです。
しかしながら今後も「日本一安全でサービスの良い鉄道」を実現するための取組みに力を入れるとのこと。
具体的には、より高度な安全・安心の追求(2022~2026 年度 平均230億円/年)として、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業の推進、ホームドアの全駅整備とホームと車両床面の段差・隙間解消、駅構内・車内における防犯・セキュリティ対策(車両代替新造による非貫通車両の解消および非常通報装置双方向対話式化、ホーム上・車内防犯カメラの全駅・全車両整備)、踏切障害物検知装置の全踏切整備と高機能化、激甚化する自然災害への対策(耐震補強工事、法面補強工事、落雷対策など)を軸に、安全・安心・快適な鉄道サービスを提供し続けていくそうです。
京王電鉄は、運賃改定実施後も業界最安水準の運賃を維持しています。
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