【八王子市】古今東西から集められた貴重な作品が一堂に。「源氏物語」のことが流れるようにわかる最先端の美術展です
日本文学の最高傑作と言われるラブストーリー「源氏物語」。
紫式部によって執筆された『源氏物語』は、平安時代中期に成立して以来読み継がれ、現在でも広く愛読されています。
主人公・光源氏を中心に、貴族社会における栄華や恋愛模様を叙情豊かに表したこの物語は、文学、絵画、工芸、芸能、香道など幅広い分野に影響を及ぼし、「源氏文化」と総称し得る文化現象を生み出しました。
とりわけ、物語場面を絵画化した「源氏絵」は流派や時代を越えて数多く描かれ、人びとに享受されてきました。
今回の東京富士美術館の特別展、源氏物語 THE TALE OF GENJI ─「源氏文化」の拡がり 絵画、工芸から現代アートまで─では、「源氏絵」を中心として、『源氏物語』や紫式部にまつわる美術、工芸、文学作品を紹介します。それぞれの作品を通して物語を追体験し、『源氏物語』の世界を身近に感じる機会となるような素敵な展覧会です。
第1部 『源氏物語』とその時代
『源氏物語』が成立して間もなく、その絵画化は始まったとされていて、その豊かな表現は現存最古の「源氏絵」である国宝《源氏物語絵巻》に現れています。
本セクションでは、物語が成立した平安時代の美術・工芸品とともに、模本や再現された装束を展示し、王朝文化の一端を見ることができます。
第2部 あらすじでたどる『源氏物語』の絵画
『源氏物語』は絵巻や冊子をはじめ、扇面、色紙、屏風など様々な形式で描かれました。
第2部では五十四帖のストーリーに沿って、土佐派や住吉派による画帖、絵巻、色紙形式の作品を中心に多種多様な「源氏絵」を紹介しています。
あらすじの解説を随所に織り交ぜてあるので、物語を理解したうえで作品を鑑賞できるような展示になっています。
第3部 『源氏物語』の名品
桃山時代以降には、大画面に物語場面を描く屏風形式の「源氏絵」も次々に生み出されます。
第3部では、一隻に一場面を大きく描く屏風や、二〜三場面を組み合わせて描いた屏風作品を中心に、大画面「源氏絵」の名品の数々を紹介しています。
また、「源氏絵」の図様や特徴的なモチーフは、工芸の意匠としても取り入れられるようになります。ここでは、物語を主題とした漆芸品を中心として紹介し、ジャンルを超えた『源氏物語』の拡がりを感じることができます。
第4部 近代における『源氏物語』
明治時代以降も、『源氏物語』とその作者・紫式部はひとつの着想源としてあり続け、伝統的なやまと絵の手法を重んじつつも、近代的な視点で登場人物の内面や情景に迫る作品が制作されました。
第4部では、尾形月耕、松岡映丘、上村松園、安田靫彦らによる「源氏絵」を紹介しています。
また、物語の普及に大きな貢献を果たした、与謝野晶子と谷崎潤一郎による現代語訳本の装丁・挿画にも注目です。
エピローグ 現代に蘇る『源氏物語』
現代においても、『源氏物語』に触発され、自由かつ斬新な発想で作品を制作する作家は少なくありません。
展覧会を締めくくるエピローグでは、現代作家による工芸、文学、漫画等を紹介し、現代における「源氏文化」の様相を探っています。
【開催概要】
源氏物語 THE TALE OF GENJI ─「源氏文化」の拡がり 絵画、工芸から現代アートまで─
開催期間: 2024年2月24日(土)~2024年3月24日(日)
休館日:月曜日
開館時間:10:00~17:00(16:30受付終了)
会場:東京富士美術館:本館・企画展示室1〜4 (アクセス)
今回の東京富士美術館の展覧会では源氏物語を知らない方でも、ストーリーがビジュアルと解説文で、簡単によくわかるような展示の工夫がされています。
また、この東京富士美術館の展示は、源氏物語の展覧会の中でも物語に関するありとあらゆる物を集めた集大成です。そのため前期と後期では大きく展示物も入れ替えるそう。2回見に行くのもいいですね。重要文化財などに指定された貴重な作品も間近でたくさん観ることができます。
なお、隣接された創価大学のバラエティ豊かでリーズナブルな学食を提供している食堂は美術館に来場する方も使用できますので、美術館鑑賞前に寄るのも良いですね。営業時間など詳しくはこちら。
東京富士美術館内には新館1Fのカフェレストラン・セーヌでは、展覧会と連動したオリジナルスイーツやフードメニューを楽しめます。営業時間 10:00〜16:30(ラストオーダー16:00)となっています。時間に余裕を持ってお出かけして、カフェメニューなども楽しみたいですね。
東京富士美術館はここ↓
記事協力:東京富士美術館