【八王子市】制作期間は2年。八王子の大学生が子どもの貧困に関する中高生向けデジタル教材を開発

画像はプレスリリースより

工学院大学の、コンピュータ科学科セキュリティ科学研究室は、子どもの貧困に関する中高生向けデジタル教材を開発し、情報処理学会第84回全国大会の学生セッション(コンテンツ開発)において学生奨励賞を受賞しました。

日本では7人に1人の子どもが、家計を支えるために毎日アルバイトをしているなど相対的貧困下*にあり、社会全体の課題です。

子どもたち自身が日本の子どもの貧困の状況や利用できる制度を知り、考えることを目的に、PCで操作するゲーム形式のデジタル教材を作成したそうです。経済的困難な状況にある主人公(高校生)に対し、友だちや親、学校の先生の立場で適切と思う行動を選びながらストーリーを進めるノベルゲーム形式。

進路選択編とアルバイト編があり、主人公の状況に応じて声をかける、主人公が活用できる制度の情報を選ぶなど、楽しみながら子どもの権利を学び、対応を身に付けるコンテンツになっています。

*出典:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」

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■制作学生コメント:鈴木 彩音さん(情報学部4年)

制作メンバー4人は、制作に先立ち、まず子どもの権利条約について深く学びました。第16条には通信の保護という項目があり、他の項目でも情報関連が書かれています。同条約の理念は情報セキュリティにも関連していることがわかりました。

制作期間は2年です。コンテンツの構成をチュートリアル(プロローグ)・シナリオ1・シナリオ2・エピローグとし、初年度は先輩がシナリオ1を、2年目の2021年度は3人で他の部分を組み上げ、全体を完成させました。注力した点は、プレイする際のわかりやすさ、見やすさです。TIPSプラグインという機能を取り入れたことで、ストーリーの邪魔にならず貧困や制度を学ぶことが可能になりました。シームレスな演出も工夫の一つです。

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■技術監修者コメント:藤川 真樹教授(工学院大学 コンピュータ科学科)

我が国は1994年に子どもの権利条約に批准していますが、28年が経過した今日において子どもの権利を子どもと大人の双方が正しく認識しているかといえば、そうとは言い切れません。事実、子どもの貧困やヤングケアラー、ブラックバイトをはじめ、他にも子どもをめぐる課題が散見されます。同権利の普及啓発は国と自治体により実施されていますが、ポスターや冊子の配布に留まっており(配布した自治体も4.97%と低調*)、Z世代である中高生にとってはアトラクティブには映らない状況です。セキュリティ科学研究室は安全・安心な社会を構築することを目標としています。すべての子どもたちが安全・安心に暮らせることを願い、このデジタル教材を開発しました。本学学生のアイデアと努力によって生まれたこの教材が、社会に少しでも貢献できることを望みます。

*出典:日本弁護士連合会、子どもの権利条約に基づく第1回日本政府報告に関する日本弁護士連合会の報告書、1997年

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■デジタル教材「あなたのミカタ!権利がワカルと世界がカワル」概要

教材形式     : ビジュアル・ノベル(Windows(R) OSのみ対応)

必要な容量    : 250MB

プレイ人数    : パソコン1台につき1人を推奨

教材利用料    : 無料

利用申請受付開始日: 2022年3月9日

申請先      :セーブ・ザ・チルドレンHP

制作者      : 工学院大学 セキュリティ科学研究室(コンピュータ科学科)

公的支援等監修  : 安部 芳絵(工学院大学 教育推進機構 教職課程科 准教授)

制作企画     : 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン

■受賞の詳細

大会および賞名:情報処理学会第84回全国大会

        学生セッション(コンテンツ開発) 学生奨励賞

論文タイトル :「労働条件・健康保険・就学支援」を学習する

        コンテンツの開発と評価

        -高校生を対象とした普及啓発の一手法-

著者     :鈴木 彩音(工学院大学情報学部4年)

工学院大学デジタル教材は、3月9日から無料ダウンロードの申請を受け付けています。

コロナ禍により子供たちを取り巻く状況は変化しています。自分の状況を客観的に見て、どのような支援が受けられるのかということを、子供自身が理解できるツール開発で支援する学生を頼もしく思います。

工学院大学八王子キャンパスはここ↓

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