【八王子市】岡埜栄泉が惜しまれながら54年の歴史に幕。心と手間をかけた和菓子の銘店が閉店します
浅草岡埜栄泉(おかのえいせん)の流れをひく大横町の「岡埜栄泉」が54年の歴史に幕をひきます。
岡埜栄泉の屋号は江戸時代から続くもので、浅草の岡埜栄泉から暖簾分けでご主人がお店を開いたのは54年前。
そのころは八日町や大横町は八王子の中心地として人々が集い、織物産業も活発で街全体が活気づいていました。その頃から岡野栄泉の和菓子は山梨や横浜から来る繊維業界の人たちの間でも評判が良かったと市内の高齢者が話してくれました。
昭和17年生まれの店主さんはもうすぐ80歳。しかしながら和菓子への情熱は枯れる事なく、朝2時に起きてその日に店頭に並べる商品の仕込みをするそうです。
最近は春になるとあちこちで目にするいちご大福ですが、岡野栄泉のものにはいちごが2個入っていて、普段和菓子には見向きもしない子供達にも大人気だそうです。
この日は朝の11時にお店にうかがったのですが、つぶあんの豆大福や草餅、桜餅などはすでに売り切れでした。閉店を知りその味を惜しむファンが多いのかもしれません。
芋ようかんは、さつまいも感を残しながらもしっとりとした羊羹の旨味を感じられます。
きみしぐれはほろほろとする皮で白あんを包んであります。蒸しあがったときにできるひびを時雨に見立てた美しい和菓子です。
酒(さか)まんじゅうも買ってみましたが、ふかふかな皮と味噌餡がマッチしていくつでも食べられる美味しさ。朝食にも良いのではと思いました。が、酒まんじゅうは特に鮮度が命。買ったらすぐに食べるのがベストですね。
「3月31日まで営業します」と書いてある貼り紙には、2021年3月31日の閉店までは全力で営業しますという店主の心意気が感じられます。
長年使われてきたばんじゅう(木の箱)もお疲れ様でした。八王子の歴史を作ってきたお店がなくなるのは寂しいですが、その味はみんなの心に残っています。店主さん、これからはゆっくり寝坊もしてのんびり過ごして下さいね。
岡埜栄泉はここ↓